ラフマニノフ交響曲第2番

S、ラフマニノフ 交響曲第2番 ホ短調

ラフマニノフは1873年にロシアの貴族の家庭に生まれ、母親からピアノの手ほどきを受けた後にペテルブルグ音楽院に入学。モスクワ音楽院転校後チャイコフスキーとの出会いからピアニストとして歩み始め、同時に作曲を学びその才能を伸ばしていきます。卒業作品であるオペラ「アレコ」はチャイコフスキーに絶賛され、ロシア音楽界のエースと目されました。しかし23歳で交響曲第1番を初演するも、当時からすると斬新な作風、演奏の不具合から、容赦ない批判を浴び、抑うつ状態に陥ってしまいます。ここから回復に3年かかり、代表作となるピアノ協奏曲第2番を世に問うて大成功を収め、1907年にこの第2番交響曲を生みだし、ロシア随一の音楽家の地位を得たのでした。 第1 楽章は序奏についたソナタ形式です。静かに影のある導入に始まりこの動機が次々に展開、高揚します。イングリッシュホルンが主部につなぐとヴァイオリンが寂しげな主題を歌い、それがオーケストラ全体に拡大していきます。3連リズムの後に木管と弦による叙情的な第2主題が奏されます。展開部では導入動機が変形して騒々しくすすむと金管がファンファーレを奏でます。劇的なクライマックスの後に主題の再現がされた後に、曲は盛り上がりをみせ決然とした最後を迎えます。 第2楽章は威勢のよいスケルツォで冒頭の確固としたリズムをの後に野性味富んだ主題がホルンに始まり、弦に受継がれます。やがてテンポが落ち着くと、柔和で優しいメロディーが歌われます。しかしすぐにスケルツォのリズムに取って変わられます。中間部は主題が発展し対位法的な発展ののち、再度スケルツォ主題に戻って曲を閉じます。 第3楽章はラフマニノフの歌謡性と叙情性が最もよく現れた音楽です。ヴァイオリンの憧れつような美しい旋律で始まると、クラリネットが悩ましげな独白を長大に歌い、オーケストラが寄り添います。中間部では行きつ戻りつしながら頂点をが築かれていく様子が圧巻です。第1部が再現され回想されつつ静かに終えます。 第4楽章はエネルギッシュな第1主題が躍動して祝祭的気分で前進を続けます。そして雄大な第2主題が弦によって歌われます。途中アダージョで回想するも、すぐに導入部の動機が浮かびでます。曲は主題や動機を再現しつつ高らかに勝利の道をすすみ華やかに終えます。彼の3曲の交響曲のうち最も成功をおさめた第2番はまさに西欧ロマン派とロシア情緒が融合した情熱あふれる音楽となっています。