モーツァルト:ディベルティメントニ長調 K.136
モーツァルトは、父レオポルドの意向もあり、10代から故郷ザルツブルクを離れて音楽の本場であるイタリアに遊学し、多くの体験、交流、作曲をし、神童音楽家としての名声も博します。旅から戻ると、16歳のモーツァルトはその成果をもとにして作曲に集中します。そこでまず創造されたのが3つのディベルティメント(イタリア語で「楽しむ」、「気晴らし」に由来する曲想です)で、K136は第1曲目かつ、最も有名な曲です。第1楽章はヴァイオリンが活発に開始、楽し気に進んでいきます。やがてはっきりした第2主題が続き、展開部は独特の短調の彩りが曲の振幅を大きくします。主題が再現され、生き生きと音楽が進みます。 第2楽章はイタリア的な楽想で、美しい主題が、絶妙の陰影をもって奏されます。副主題がオペラアリアのよう、優しく柔和ですが、モーツァルトの天才性が発揮されています。 第3楽章は飛び跳ねる主題に弦楽合奏全体が躍動感をもって応えます。展開部では対位法的な部分ではっとさせます。10代の光輝く音楽を振りまきます。