サン=サーンスはフランス近代音楽の祖。1835年にパリで生まれます。3歳で叔母の手ほどきでピアノを始め、13歳でパリ音楽院に入学する神童ぶりを発揮。卒業後はマドレーヌ寺院のオルガン奏者をつとめる傍ら室内楽や交響曲等多くの音楽作品を創造します。また生涯で13のオペラを作曲。最も有名なものが「サムソンとデリラ」でフランスを代表する作品となりました。旧約聖書に題材をとったこのオペラ。紀元前のイスラエル、ガザが舞台で、ペリシテ人の圧政に苦しむヘブライ人が怪力を誇る英雄サムソンのもとに集い戦います。ペリシテ人側はこのサムソンを籠絡せんと美女デリラを送り込み、誘惑のあげく、彼の力の源である髪の毛を切り落とすことに成功。捕らえられたサムソンは盲目にされ、刑場の露と消え行く運命に、、神への最後の祈りにより力を取り戻したサムソンはペリシテ人もろともに大神殿を崩壊させたのでした。 「バッカナール」はサムソンを刑場に引き出す直前に祝いの宴席で奏でられ、ペリシテ人の女たちが妖しく踊る異国情緒あふれる傑作音楽です。