仮面舞踏会

ハチャトゥリアン 仮面舞踏会組曲

ハチャトゥリアンは貧しい製本業の息子として1903年グルジアに生まれます。音楽教育は受けていませんが民謡、民族音楽に親しんでいました。
18歳のときモスクワ音楽院ホールでベートーヴェン第九演奏に触れて音楽に目覚め、楽譜も十分に読めないままグネーシン音楽院チェロ科に入学。
その後作曲科に転じピアノ協奏曲等で一躍注目され、1941年モスクワの演劇劇場公演のためレールモントフの戯曲「仮面舞踏会」に付随音楽を作曲しました。
この戯曲は帝政ロシア貴族社会における虚偽や腐敗の中での男女の悲劇を描いたものですが、その旋律と舞曲性が高く評価され、後に5曲の組曲として作曲し直され、彼の代表曲として広く知られるようになりました。

第1曲 ワルツ:作曲家自身最も心をくだいて取り組んだ楽曲で、舞踏会を彷彿とさせます。憂愁をおびた旋律がファゴットとヴィオラで歌いだされ、ヴァイオリンがワルツ主題を奏します。中間部は弦による主題が木管の華やかな装飾で彩られ、最後は主題ワルツに戻りめくるめくような音楽が展開、近年ではフィギュアスケートの音楽として大変有名になりました。

第2曲 ノクターン:ホルンにより夜の静けさが表されるうちにヴァイオリンソロが叙情豊かに歌いだし、ものぐるしい旋律がいきつ戻りつ奏されます。この歌にはどのような思いが込められているのでしょうか?中間部はクラリネットがカノンでヴァイオリンを追いかけ、冒頭主題に戻って静かに終えます。

第3曲 マズルカ:華麗な導入に続いて軽快な舞踊音楽が展開します。管と弦の対話、対旋律が絡み合うなどハチャトュリアン独特の音の世界です。

第4曲 ロマンス:劇中悲劇のヒロインが舞踏会で歌った曲です。主旋律はヴァイオリンが歌いだし、ヴィオラ、チェロに継がれます。悲しみのロマンスが美しい旋律で展開していきます。トランペットソロが歌ったのち、曲は物悲しく終わります。

第5曲 ギャロップ:これまでと一転、躍動的なリズムにのって、コミカルなテーマが演奏されます。拍子が変転したり、リズムを刻んだり、熱狂的にすすみます。
中間部はクラリネットが自由にふるまい、フルートがつぶやいた後、陽気な気分に戻り、鮮やかな終結にいたります。