ボロディン交響曲第2番

楽曲解説;ボロディン 交響曲第2番 ロ短調


ボロディンはグルジア系貴族の息子として生まれ、音楽への興味、関心を幼少からみせるも、サンクトペテルブルク医科大学に進み医学者、化学研究者「ある有機化学反応の発見者としてボロディン反応」として名を残しています、本職の傍ら作曲を余技とするも、バラキレフらの音楽活動に触発され、本格的に音楽も勉強し「ロシア五人組」の一翼を担う音楽家としても名を馳せる才人でした。この五人組の中で交響曲作曲家として抜きんでた存在でもありました。バラキレフはボロディンにまず交響曲の作曲を勧め、第1番が1868年に完成、初演、国内での評価はいま一つであるも、リストの目にとまり国際的名声を得ると、すぐに第2番に着手。オペラ「イーゴリ公」の創作と軌を一にして作曲がすすめられ、1877年に完成初演され、大好評を博し、ロシアの交響曲を代表する作品として高く評価されました。 第一楽章は冒頭弦全奏により力強い第一主題が提示されます。後半は木管によって快活な旋律が奏されると、この二つの要素が絡み合いつつ巨人の歩みのように力強く前進していきます。やがてチェロにより優しいロシア民謡的な性格の第2主題が奏され、管楽器により発展していきます。一旦おさまると、展開部は草原を馬が駆け回るような快活さ。その後再び第1主題に戻り巨人の足取りが再現され、堂々と楽章が締めくくられます。 第二楽章は金管全奏で始まりを告げると早いホルンのスタカートリズムに弦のピッツィカートが呼応します。低弦の音型に導かれ、スケルツォ主題が奏され、盛り上がりみせます。やがて収まりをみせ、中間部(トリオ)は木管によってひなびた主題が歌われ、管弦により歌が盛り上がります。この後主部が再現、発展の後徐々に静まって終えます。 第三楽章はハープを伴奏にクラリネットが古いロシア旋律を吹くと、ホルンソロが美しく吟遊詩人の歌を歌います。やがてオーボエにより抒情的な旋律が奏され、管楽器に受け継がれると曲は広大なロシアの大地のごとく音楽が展開。主題が優しく戻ってきて曲を閉じるも、休むことなく第四楽章に突入します。低弦の躍動的なリズムにのって高弦により動機が繰り出されて後、主題が全奏により力強く姿を現します。クラリネットにより第2主題が楽し気に歌われ曲が発展していきます。トロンボーン、テューバにより重厚な楽想で一息ついた後、すぐに快活さを取り戻すとともに、雄大な曲想へと転換して前進していきます。最後は冒頭の楽想に戻り、鮮烈に終えます。全曲を流れる力強いロシア的要素ゆえに「勇士」との愛称を得た交響曲でもあります。