リヒャルト シュトラウス:8つの歌より「献呈」
父親が宮廷オーケストラの楽長あった、Rシュトラウスは幼少より優れた音楽教育を受け才能が開花します。
8つの歌は十代で作曲したものですが、音楽家としての出世作となりました。
ヘルマン フォンギルムの詩「最後の花びら」に若い感性で作曲されたもの
1)献呈、2)何もなく、3)夜、4)ダリア、5)待ちわびて、6)黙して、7)サフラン、8)万霊節、の8曲からなります。
とりわけ有名なのは遠く離れた恋人への感謝の気持ちを歌い上げる「献呈」です。
Zueignung
献呈
Ja, du weißt es, teure Seele,
Daß ich fern von dir mich quäle,
Liebe macht die Herzen krank,
Habe Dank.
そうだとも、あなたは知っているでしょう、いとしい人よ、
あなたから遠く離れて私が苦しんでいることを。
愛は心を病ませてしまうのだ、
ありがとう。
Einst hielt ich, der Freiheit Zecher,
Hoch den Amethysten-Becher,
Und du segnetest den Trank,
Habe Dank.
かつて放埓な大酒呑みだった私が
アメシストの杯を高く掲げると、
あなたはこの飲み物を祝福してくれた、
ありがとう。
Und beschworst darin die Bösen,
Bis ich, was ich nie gewesen,
Heilig, heilig an's Herz dir sank,
Habe Dank.
そしてその中の災いを追い払ってくれた、
こうして私は以前の自分ではなくなり、
清らかに、清らかにあなたの心に沈みこんだ、
ありがとう!
詩:Hermann von Gilm zu Rosenegg (1812-1864)
曲:Richard Georg Strauss (1864-1949)
各節の微妙な変化と、結びにおかれた「ありがとう」という歌詞にこめられた強い表現が印象的です。